1曲1曲で違いますね。《…as I am…》では言葉の発音とオーケストレーションがどれだけ合うかとやりたかったのです。ですから詩と作曲が同時進行で行われました。子音にはシンバル、母音には滑らかな音をつけたり・・・。《Atom》はイメージ的に原子の粒がどんどん大きくなってフレーズになって最後にメロディになる経過を見せたかったというのもありました。《Vast Ocean》はスタニスワフ・レムの「惑星ソラリス」からきてます。どれも違いますね。イメージ+今の作曲の目標ということが多いですね。作品が演奏されて録音を貰うと数ヵ月後に自分だけで反省会をして克服すべき目標を考えて、今後の作曲予定と照らし合わせたりします。ラッヘンマンに「好きなものでなく、嫌いなものをやってみたら?」と言われたことは新鮮でしたね。嫌いな曲にも次の曲へ繋がることってあるのです。12人の打楽器合奏曲《Phantom Pulse》は「弓で打楽器を弾きたくないな」って言われたのを使いました。12人が弓を使う曲を書いてやろうと、反発精神というか、やめろと言われたらやりたくなるのですね。それで「結構いいじゃない」と言わせる。
いろいろありますが、最もやりたいのはオペラです。台本はハリー・ロスで、編成は15〜20人の室内オーケストラで人間の心理がテーマです。《as I am》でも試したのですが、いろいろな感情のある曲を書いていきたいです。芸術的な深みもあって、パッと聴いても面白いオペラを書きたいですね。20歳頃から言っているのですけれどね(笑)。