木村麻耶さんからの個人委嘱で書かれた、25絃の箏の作品「ゆり」。そして今回は再び木村麻耶さんの個人委嘱で、この作品をミニコンチェルトになるように作曲してほしいとのリクエストがありました。
再演奏のしやすさを考慮し、25絃の箏と弦楽四重奏、または弦楽オーケストラで演奏できるように編曲しました。
25絃の箏は珍しい楽器であり、弦の数がかなり多く、これまで書いてきた箏の作品はすべて13絃のものでした。今回の作品ではその2倍近くの絃を扱っています。これにより、演奏する音のバリエーションも大幅に増えることになります。
さらに、今回のコンチェルトでは弦楽アンサンブルのパートもあります。これは、原曲の「ユリ」を拡大したような感じで、箏奏者である麻耶さんの演奏が指や爪の動きも何倍にも広がったようなイメージを込めて作曲しています。
弦楽パートによる「視覚化」のような響きを狙い、ユリの演奏から発せられるオーラを音楽を通じて表現してみました。
藤倉大