Ryu
(竜)
for koto


今野玲央さんからのリクエストで書かれたソロの箏の作品「竜」。

今まで箏を使った作品はいくつか書いた事があったのだが、ソロの箏の作品は今回が初めて。
僕は日本で生まれて15歳まで育ったのにもかかわらず、全く邦楽の楽器のことを知らずに育った。なので、今回は一から楽器のことを勉強してから作曲に取り掛かった。

僕が作曲する時にいつも思うのは、どうやったら新しい音色が作れるか、なのだが邦楽器のために書く場合は、その前にどうしたらこの伝統のある邦楽器がその楽器らしく輝くことができるのか。
そこを絶対的に損なわれないようにしたい、と僕はいつも思う。

そこで今回は今野さんと長時間のチャットや、僕がちょっと楽譜を書いては今野さんに送り、今野さんが自撮りでその動画を撮り、送り返してくれたりした。
半分以上僕が書いた楽譜は僕の思うようには響かず、消去される。
なかなか上手くいかない。

でもそんな1日に何回も往復される楽譜の断片とその動画の中で、「これだ!玲央くんはどう思う?」「すっごい綺麗に鳴ってます!」という瞬間があったりもする。
それがリードしてくれ、作曲が進んで行った。
この喜びの瞬間、このために僕は作曲しているようなもの。

箏らしい音が鳴るように、なのだが、それを反するように、全くの実験的な奏法とその響きも「竜」にはある。そこもどうやって楽譜にすればいいのか、物理的にどうやって演奏するのか、など今野さんと相談しつつ進めていった。

とてもグルーヴ感のある、それでいてどこか地上から浮いた感じの部分もあるような、それでいて、箏を弾く時に全体重をかけてはじくような、どっしりと構えたセクションもあると思う。


藤倉大