Moon
for Biwa and Viola da gamba


今、2021年の12月の時点で、僕には西洋の古楽器の作品への依頼がまとめて来ているのですが、その前に、去年このMoonを書いていたことを思い出しました。

ヴィオラ ダ ガンバは音色は知っていたものの、僕にとって初めての楽器だったので、楽器の勉強したり、奏者の方とコラボして、書きました。前世はヴィオラ ダ ガンバ専門作曲家だったのかな?と思うくらい、自分ではスムーズに、すぐ書けました。

しかし、Moonの琵琶のパートは思いのほか、難しかった。琵琶奏者の久保田さんが言うには、僕が今、三味線を習っているのをご存知だったので、「三味線やってたら、琵琶はわかりやすいです」。
それなのに、琵琶の不思議な左手の仕組みを理解し、音楽上での開放弦の使い方、琵琶が一番効果的に鳴る鳴り方、を自分の音楽で見つけるのに苦労しました。書いては捨て、書いては捨て、で捨てた素材の方が残ったものの何倍、にもなりました。

リハーサル録音を聴くと、僕の中では、この二つの楽器が一つの楽器であるように聴こえるので、それは僕が目指した音の世界観でもありました。これからも邦楽器や西洋古楽器のために作品を作りたいな、と思いました。

藤倉大