Harmonic Flute


この作品は、オルガンと尺八のために書かれました。なんとも変わった編成ですが、だからこそ作曲の意欲が湧いてきました。オルガンには以前ソロ作品を書いたことがあるので、多少は理解していました。西洋楽器最古のシンセサイザーとも言えるパイプオルガン。そのオルガンでフルートの音色を奏でると、ふわふわ、さわさわと浮遊する音が広がります。そんな音世界の中を、尺八が竹ゆり、なやし、むらいき、そらね、たてゆり、よこゆり……時には激しく、荒々しく駆け抜ける。これらの奏法をどう組み合わせるかは、尺八奏者の腕の見せどころ。そんな音の渦の中を尺八が舞うように奏でたら、心地よいだろうな、と思いました。

そう思っていたら、気づけば作品ができあがっていました。

藤倉 大