藤倉 大(ふ じくらだい)
プロフィール

大阪に生まれ、15歳で単身渡英。ショージ・ベンジャミンらに師事し、博士課程を取得した。現在英国在住。

近年の活動は多岐に渡り、2020年には全体主義の脅威を描いたオペラ《アルマゲドンの夢》を新国立劇場で世界初演。数々の音楽誌において、その年のオペラ上演におけるベストに選出された。また同年、広島に投下された原爆の犠牲となった女性の遺品ピアノにインスパイアされて作曲した、ピアノ協奏曲第4 番《Akiko's Piano》も世界初演され、その録音はソニー・ミュージックレーベルズからリリースされている。そしてCOVID 19のパンデミック下、リモート演奏のための作品《Longing from afar》を発表し、既に20団体以上の世界各地の楽団が演奏、発表している。ヴェネツィア・ビエンナーレでは2017年に銀獅子賞を受賞したホルン協奏曲の世界初演に引き続き、2020年にはリコーダー協奏曲がイタリア初演された。

2021年には、コロナ禍2年目の作品として作曲された《Longing for a hug》が、ユトレヒトやアムステルダム、ブダペストの各ホールからの同時演奏により、オランダ国営放送で生放送された。さらに、世界の今の情勢を表す作品をと、急遽ケルンWDR交響楽団からの依頼を受けて作曲した作品《Entwine》等が世界初演を予定している。4月には箏協奏曲の世界初演が予定されていると共に、オペラ《ソラリス》の新演出がウィーンで上演予定。

ほかにも2019年には、《Umi(海)~オーケストラのための~》が、名古屋、シアトル、ワルシャワ、東京、ブルターニュ等各地で演奏され、ニューヨークのリンカーンセンターにおけるMostly Mozart Festivalで《三味線協奏曲》の世界初演した直後に、ノルウェー、東京等で何度も再演された。また、東京藝術大学奏楽堂での「七感で楽しむシアター」では自身初となるダンス作品(ダンス出演:大前光市)を発表した。さらに10月公開の映画『蜜蜂と遠雷』では、劇中オリジナル楽曲「春と修羅」を作曲し、第43回日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した。

近年はテレビ番組の作曲依頼も多く、NHK「にっぽんの芸能」のテーマやエンディングテーマ、子ども向けの新しい音楽番組NHK「おんがくのおもちゃばこ」のテーマ音楽と音楽監督を担う。

●近年の活動

2020年は、広島に投下されて原爆の犠牲となった女性の遺品ピアノにインスパイアされて作曲した、ピアノ協奏曲第4 番《Akiko's Piano》や、全体主義の脅威を描いたオペラ《アルマゲドンの夢》が世界初演され、大きな話題となった。また、COVID 19のパンデミック下、リモート演奏のための作品《Longin g from afar》を発表して話題を呼んだ。この作品は世界中の多くの演奏家により、様々な編成でいまも演奏され続けている。さらに、ソーシャル・ディスタンシングをテーマとした作品《Midday Silence》が、カリーナ・カネラキス指揮オランダ放送フィルの演奏により、オランダのテレビ番組で世界初演された。

2019年には、《Umi(海)~オーケストラのための~》や、ニューヨークのリンカーンセンターにおけるMostly Mozart Festivalで《三味線協奏曲》の世界初演が成功裏に終わる。東京藝術大学奏楽堂での「七感で楽しむシアター」では自身初となるダンス作品(ダンス出演:大前光市)を発表した。10月公開の映画『蜜蜂と遠雷』では、劇中オリジナル楽曲「春と修羅」を作曲し、第43回日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した。

そして2021年は、コロナ禍2年目の作品として作曲された《Longing for a hug》が、オランダやフィンランドの各ホールから演奏され、オランダ放送で放送予定。また、世界の今の情勢を表す作品を作曲してほしいと、ケルンWDR交響楽団からの依頼を受け作曲した「touch(接触)」をテーマにした作品、《Entwine》等が世界初演予定。

現在第4作目のオペラ、2つのオーケストラのための作品、フルートとヴァイオリンのための協奏曲などの新作を構想中である。

●オペラ作品

これまでに3作品を発表。

2020年、新国立劇場委嘱によるオペラ《A Dream of Armageddon/アルマゲドンの夢》がコロナ禍の中、予定通りのキャストで世界初演され、国内外で大きな話題となった。“SFの父”として知られるH.G.ウェルズの短編(邦題:世界最終戦争の夢)をオペラ化したもので、新国立劇場による新制作・委嘱作品。藤倉のオペラ作品では初めての国内での世界初演となった。指揮は新国立劇場のオペラ芸術監督 大野和士、台本は藤倉と旧知の仲である作家のハリー・ロス、演出は現在ヨーロッパを中心に引っ張りだこのリディア・シュタイアーという、グローバルチームによる世界水準クオリティの作品。全4公演が完売となり、各方面から高い評価を得た。

2018年、スイスのバーゼル劇場委嘱によるオペラ《The Gold-Bug/黄金虫》が世界初演された。子ども向けのオペラとして委嘱され、エドガー・アラン・ポーの短編を題材にオペラ化。台本はハンナ・デュブゲン。2020年にフランス語版初演。

2015年、シャンゼリゼ劇場、ローザンヌ歌劇場、リール歌劇場の共同委嘱によるオペラ《SOLARIS/ソラリス》がシャンゼリゼ劇場にて世界初演され、国内外で高く評価された。自身初のオペラである本作品は、20世紀を代表する世界的なSF作家スタニスワフ・レムの名作『ソラリスの陽のもとに』を題材にしている。また本作品は、2018年にアウグスブルク劇場にて新演出で上演されたほか、同年に東京芸術劇場で演奏会形式・日本初演された。2021年、新演出によりウィーンで上演。
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●多彩なジャンルや世界的アーティストとのコラボレーション

実験的なポップスやジャズ、即興の世界のアーティストとのコラボレーションも多数。坂本龍一との共同作曲作品は白寿ホールで世界初演され、デヴィッド・シルヴィアンとの共同作曲作品はシルヴィアンのアルバム「died in the wool」に収録されている。また、ノルウェーのジャズ即興アーティスト Jan Bang、 Sidsel Endresenとの共同作品は、Jazzland レコードよりリリースされている。

世界で演奏される機会がとても多い作曲家の1人であり、ピエール・ブーレーズ、カリーナ・カネラキス、ペーテル・エトヴェシュ、ヴィンバイー・カジボニ、ジョナサン・ノット、スザナ・マルッキ、グスターボ・ドゥダメル、大野和士、マーティン・ブラビンズ、沖澤のどか、ケヴィン・ジョン・エドゥセイ、ダニエラ・カンディッラーリ、山田和樹、らの指揮者、ムローヴァ、LEO, 福川伸陽、コパチンスカヤ、上野耕平、クレア・チェイス、諏訪内晶子、オイステイン ボーズヴィック、藤原道山、小菅優、本條秀太郎、本條秀慈郎らのソリストが藤倉の作品を演奏、演奏予定がある。

●『蜜蜂と遠雷』

2019年秋公開の映画『蜜蜂と遠雷』(原作:恩田陸/監督::石川 慶)の劇中オリジナル楽曲「春と修羅」の作曲を担当。境遇の異なる4人の登場人物がそれぞれ演奏するカデンツァ部分も四種四様に書き下ろした。小説描写に限りなく近づけつつ、それでありながら藤倉大サウンドも充分に感じられる楽曲として、大きな注目を集めている。

2020年4月に、春と修羅4ヴァージョンと過去に手掛けたピアノのための作品を集めたベスト盤『春と修羅 藤倉大ピアノ・ワークス』がソニーより発売。

●邦楽器、非ヨーロッパ楽器のための作品

近年、三味線、箏、尺八、などのための作品や協奏曲も多く作曲している。2020年には、中国の楽器シェン、韓国の楽器テガム、のための作品も作曲し、ドイツで初演予定。

●プロデュース/キュレーター

2017年から、毎年東京芸術劇場で開催されている、世界中の“新しい音”が聴ける「ボンクリ・フェス“Born Creative Festival”」のアーティスティック・デイレクターを務めている。また、2016年および2019年の「ラ・フォル・ジュルネTOKYO」内の、藤倉大キュレーター公演は満席御礼の成功を収めた。

2015年から、の福島県相馬市で4歳から高校生までの子どもたちを対象とした「エル・システマ作曲教室(LVMHルイ・ヴィトン・ジャパン協賛)」の監修を務めている。多方面で活躍中の奏者を講師として連れて行くため、子どもたちは自由に作曲した作品を、すぐにその場で奏者に演奏してもらえることが特徴。

●レコーディング/出版

レコーディングは、NMC、commmons、KAIROS、ストラディヴァリウス、ソニーミュージック、藤倉大自身が主宰する音楽レーベルMinabel Recordsから10枚以上の作品集がリリース。楽譜はリコルディ社から出版されている。

●作曲の方法

世界中の演奏家からの新作依頼を実現するにあたり、Skypeなどで演奏家とコミュニケーションをとりながら、作曲を進める。

●執筆

2019年より、幻冬舎plusにて連載「藤倉大の無限大∞」や、小説幻冬にて連載「どうしてこうなっちゃったか早すぎる自伝」など執筆活動も行っている。

●数々の作曲賞を受賞

これまでにポーランドのセロツキ国際作曲コンクール(当時最年少で優勝)、ロイヤル・フィルハーモニック作曲賞、国際ウィーン作曲賞、パウル・ヒンデミット賞、第57回、第63回、第67回尾高賞、第19回芥川作曲賞、中島健蔵音楽賞、エクソンモービル賞、ヴェネツィア・ビエンナーレ音楽部門銀獅子賞、WIRED Audi INNOVATION AWARD2017、平成30年度文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞、第 33 回ミュージック・ペンクラブ音楽賞など、数々の作曲賞を受賞している。

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Minabel Records :http://minabel.com/
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