Zawazawa

この作品は、僕が東京混声合唱団のレジデントアーティストに就任して初めての委嘱作品。そして、ほとんどの僕の声楽作品がそうであるように、詩人ハリー ロスとのコラボレーション作品だ。恐らく、今の所、僕の合唱作品の中で一番大きくて複雑な作品だと思う。

詩人と、どのようにコラボレーションをするかというと、だいたい僕の家の一室で何時間も一緒にいて、作曲と詩を同時進行で作っていく。家の5歳の娘は別の部屋で「あのおじさんまだ帰らないの?」と言うし、ハリーのティーネージャーの娘は家までお父さんを迎えに来たりして、一緒に夕食を食べたりもした。

声楽作品は、詩があってそれに作曲家が音をつけていく、という作曲の仕方が一般的。僕はそれが昔から嫌だった。詩にインスパイアされて作曲する気持ちは分かるけど、僕は詩の字数や言葉のアクセント(特に英語の場合は一つアクセントがずれるだけで言葉が分からなくなる)に作曲を制限されたくないし、むしろ、詩人の方が僕の音楽にインスパイアされて僕の音楽に合う詩を書いてよ、とも思う。
なので、詩人には何回も僕の家に通ってもらい、作品を一緒に作り上げていく。

詩については、僕がハリーに頼んだアイデアも盛り込まれている。山田和樹くんと家族ぐるみでプラハで会ったときに、当時4歳になる娘に「大ちゃん、擬声語を教えなきゃだめだよ、日本語特有なんだから」と言われたのを思い出し、日本語のオノマトペ(擬声語)と英語の詩を混ぜて進めよう!と決めた。他にも、合唱団の半数が「Why」と、もう半数は「eyes」と同時に歌い、「wise」という響きを生み出したり、そういった仕掛けが沢山この作品には散りばめてある。英語の詩を扱った作品の中では、僕らにとっては初めて試みるアイデア。

なお、この作品は、東京混声合唱団とアメリカの合唱団クロッシングとの共同委嘱。ハリーロスの詩は、僕個人の委嘱。

藤倉大



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