my letter to the world

「my letter to the world」 は、フランクフルトの旧オペラ座からの委嘱で書かれた作品です。この委嘱については委嘱側からリクエストがあり、ロマン派時代のテキストを使用した歌とピアノの為の作品をというものでした。これらを書き始める時、ちょうど僕は自身にとって初めてとなるオペラの作曲を始める頃でもあり、今までソプラノでは何作か書いているが、バリトンでは書いたことが無かった為、良い機会だと思い、バリトンとピアノの編成で書く事にしました。テキストは、エミリー・ディキンソンとウィリアム・ブレイクの詩を使用している。6つの楽章から成り、一つ一つ全く違った作曲法で書いてみようと思いました。1つ目の楽章は、最初のピアノのアタックのハーモニックフィールドからにじみ出てくるような歌と、ピアノの減衰する音の響きから産まれてくるメロディ、そしてピアノのその音源をリヴァースしたかのように(和声は変化し)終わる。第2楽章は、大変可愛い赤ちゃんの話。ピアノが歌のメロディの間をちょこちょこと動く。第3楽章は、6つの楽章中最初に作曲した。ある意味コアとなる作品で、小さいながらも大河ドラマのような複数のムードと、ピアノ部分もかなり沢山の素材がぎゅっと詰まっている。第4楽章は、ドローンがあり、その周りを歌がうねるような感じ。第5楽章はわざと、ピアノが「伴奏」という風にした。僕は今までクラシック外のアーティストと共作したりもしているのだが、その経験が無かったらこの5楽章目は書けなかっただろうと思う。意外と僕にとっては大胆な決断によるスタイルかもしれない。第6楽章は、瞑想的に終わる。この6つの楽章全部で12分くらいなので、盛りだくさんな作品かな、と思います。 来年にでもこの作品のピアノパートをオーケストレーションして、バリトンとオーケストラの作品にしようかな、と企んでいます。

藤倉大



- MENU -
top page

© Copyright Dai Fujikura. All rights reserved.