Calling Timbuktu
ティンブクトゥを夢見て
「久々に長い定規を使って小節線をこう縦にしゅっと、大編成の曲を書きたいなあ、、、」と思ってある日この曲を書き始めました。

オーケストラを一つの楽器と考えてもいいし、いっぱいの小編成室内楽団の集まりと考えてもいいし。でもせっかくだからオケならではの「豊かな音」と室内楽ならではの「親密感」を曲の中に対照的に入れようと。そうすることによって味覚が広がるのではないか、例えばしょっぱいばかりでなく、少し甘みがかったしょっぱさ、辛いんだけど甘みもあるという、醤油に砂糖、お酒を入れたりする日本の料理でもあるように。

あと僕は音楽以外でも堂々としたEspressivoというのがどうも嫌いで、ちょっとシャイだけどPassionateというのを表そうと、Espressivoなフレーズは客席の後ろから、あるいは弦に練習用ミュートを使ってわざと「豊かさ」を殺して「上から押さえられた感情」というのを表現しようとしました。日本のテレビドラマ、ロミオとジュリエットの世界ですね。愛したいけど愛せない状態という、、、。
あと、僕の住んでるイギリスでは地下鉄が脱線しちゃったり、トンネルの中で急に止まったりと日々の通勤も大変な中、「会社が終わったら現代音楽でも聴きに行こう!」と思わせるのはとても難しいです。僕はなるだけコンサートならでは!というのを曲に表したく、いろんな楽器をホール中にちりばめました。録音技術が高くなる中「でも藤倉君の曲はやっぱコンサート行って聴かないと駄目だね」と言われるように、コンサートへわざわざ行く意味を持たせるような曲をこれからも書いていきたいと思います。

最後にタイトルの「calling Timbuktu」は、書いている時にポール オースターの「Timbuktu」を読んでいたからです。関連はあると思いますか?素晴らしい本なので読んでみてください。

藤倉大


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